第10章 ☆Story28☆ 世界を目指して…
「ぇ……?」
百合の言葉に驚きを隠せない太輔、太輔は百合の言葉を待った。
『ほら、昔からよく言うじゃん?
人形やぬいぐるみには人の霊が宿るとかってさ。
まぁ私もあの頃は結構レンやユウに話しかけてたし笑
……それに前にも言ったじゃん?私たちは一部の魂が宿ってるって。』
「そう、だったな……お前の全部が、レンにいるわけじゃないって……」
『私は当然死んだ身だから……霊は天界、空の街にあるの。
向こうでは一応人間の姿を保てるけど、それも一部……
他の部分は輪廻転生で他の命に生まれ変わってるかもしれない。』
「輪廻、転生か……」
『うん。もしかしたら、
私が生きている時にレンとユウに私の一部が入ったのかもしれない……
ユウも、自分が私たちの子供だってわかったのはゆりの元に来て
しばらく経った後で、それまでは私のぬいぐるみ・ユウとして
意志を持ってたと思うの。』
「ユウの意思……確かに、初めから叶輔として宿ったならユウじゃなく
叶輔って名乗るかもな……それで、俺が百合を認識するように
ゆりも叶輔が自分の兄妹だって、認識するだろうし……
……ゆりも、当然叶輔と別れる日は来るんだよな……?」
『もちろん……だって、叶輔は本来生まれるはずのない命で
ゆりに兄はいない、ひとりっ子って言う事実は変わらない。
あくまでゆりが独り立ちできるまでの存在であるユウ……それに、
その時が来るまでゆりにその事を告げることはできないの。
これが、叶輔と神様が交わした約束。』
「ユウが実はゆりの兄になるはずだった叶輔だ……ってことか?」
『うん。
それが早いのか遅いのか……私にも神様にもまだわからないけどね……』
「……でもそれで、
ゆりがまた前みたいに戻ってしまうってことはないのか?現に、
っ現に俺は、お前が死んで約束を交わしたにも関わらず前まで引きずってた。ゆりは今まで、一人っ子として頑張ってきたんだ……。
それで成長しても自分には兄がいたかもしれないって言う事実を知ったなら、
それを引きずってしまうことだって……」
『そうさせない為に、私たちは居るの……』
「っ……」