第9章 ☆Story27☆ ミラーツインズ、双子の兄弟
_グイッ!「おいっ!」
「っ!?」
突然誰かに二の腕を掴まれるゆり。
その声は日本人男性の声だった。
ゆりは同じ日本人だとホッとした同時に
涼介から聞かされた凶悪犯だったらどうしようというのが頭に浮かんだ。
「っ何ボケっとしてんだ!
日本の餓鬼がこんなとこに居たら危ねぇだろっ」
「っ……ぁの……」
「一旦安全な場所に移動するぞ……」_グイッ!
「っきゃ!?」
(なんかこの人乱暴!?)
ちょっと強引に腕を引っ張られるゆり、ゆりは落ち着いてから涼介に連絡することにした。
「……。」
「っあの……すいません……あなたって……」
「……。」
「……汗」
(っなんで何も言ってくれないの!?涙)
男は何も言わずゆりを安全であろう場所まで連れていった。
そしてしばらく歩いた先で立ち止まった。
「ここまで来りゃ、大丈夫だろ。」
「っ……あの、ありがとう、ございます……」
(この人、フード被ってるから顔よく見えないな……しかも全身黒……なんか、憲吾みたい……)
「お前、親と逸れたのか……って、お前……」
「っ……!?」
(もしかして私が藤ヶ谷ゆりってバレた!?)
日本ではほぼ名前と顔を知られているゆり、
助けてくれた相手は日本人なので知っている可能性は十分にあった。
そして案の定……
「へぇ……お前、藤ヶ谷ゆりだったのか。」
「っ……」
男は口角を少し上げながらゆりのサングラスを外し顔を覗き込んだ。
「……憲吾の言うとおり、危なっかそうな餓鬼だな……」
「っ!?」
(っなんでこの人、憲吾のことを……)
男はフードを脱ぎその顔をゆりに見せた。
「っ……」
(憲吾に、似てる……?)
「初めまして、お嬢さん……」_ニヤッ
少し怪しく笑う男、
「っ……人違いです!!!」_ピーヒュルヒュルルルルル!!
(憲吾に似てるって思ったけど全然違う怪しい人だ!!)←
「っ!?」
ゆりは思わず首にぶら下げていた防犯ブザーを鳴らした。
ちなみにこの防犯ブザーは……