第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
『やめてよ……』
涙を流すゆり、ゆりを傷つけたくない一心でただ守り続ける憲吾、
それはゆりも同じだった。これ以上憲吾までが傷つく姿は
見たくなかった……。
そしてゆりは自分がどうするべきか分からなかった。
この場ではっきりと自分の恋人は憲吾だと伝えるかどうか……。
そうすればこの下品な男達もこれ以上憲吾のことは侮辱しないだろう。
しかしそうしてしまえば冒頭の謝罪で宣誓したことをあっさり覆してしまい
また自分のファンを裏切ってしまうこともゆりにとって辛いものだった。
「いい気になってんじゃねぇぞッ!!
ゆりぴーはお前の所有物じゃねぇんだよ!さっさと離れろよッ!」_グイッ!
「っ!」
『っ憲吾!!』
ステージに上がっていた男は
ゆりから憲吾を引き離そうと胸ぐらを掴み引っ張り上げた。
一瞬力が緩む憲吾、そのまま男は引っ張り上げセンステ側のほうへ投げつけた。
_ダンッ!「クッ…!」
そして男は先ほど投げつけたペンライトを手に取り憲吾のほうに体を向けた。
『っ!』
(だめだ、このままじゃ憲吾が……!)
ゆりの体は本能的に動いた。
そして再びペンライトを振り上げ憲吾の顔目がけ振り付けた。
「目障りなんだよッ!!消えろッ!!!」
「っ……」
『っ!』
ゆりは憲吾と男の間に割って入り
両手を広げ憲吾を守るよう男の正面に立った。
男が気づいた時にはもう振り付けた勢いは止められずそのまま振り落とされた……
「っ……!?」
_ガッ!『ぅぐ…!』
「ゆりッ!!!」
ペンライトはゆりの額に当たりゆりはそのまま尻餅をついた。
憲吾は急いでゆりの肩を持ちゆりの容態を窺った。
『っ……』
「っ!
ゆり!血が出て……」
ゆりの額からは少なくとも血が出ていた。今ツアーのペンライトは
角が比較的多いものでその角の部分が当たってしまったと思われる。
目の前で自分を庇い血まで流すゆり、頭に手を当てながら
小さく『いたた…』と呟いていた。
『っいたた……憲吾、大丈夫……?』
「っバカ何庇って……あれくらい俺……」
『私だって、憲吾が傷つくとこもう見たくない……。』