第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「「「っ……」」」
頭を下げるゆり、会場はすっかり静まりに返っていた。
先ほどよりも長く頭を下げ続けるゆり、
ゆりの隣にいた来海はゆりの肩に手を置き
マイクに音が入らないよう声をかけた。
「っゆり……もういいから頭を上げて?
これ以上ゆりが傷つく必要ないから……十分、
みんなに気持ちは伝わっているから……」
「……。」
来海の言葉でようやく頭をゆっくりと上げるゆり、
そしてゆりにはまた一つ言わなければいけないことを思い出した。
それを口にするため、再び喋り始めた。
『……今すぐ、皆さんから許されようとは思っていません。
これからは真摯に自分がすべき事を成すつもりです。
それにあたって、最後に一つだけ言わせてください。』
「「「っ……」」」
『『っ……』』
((ゆり(ちゃん)、一体何を言うつもりなの……?
もう何も言うことはないはずなのに……))
メンバーも会場も裏方も、全ての人たちがゆりに視線を集中させた。
憲吾も一体ゆりが何を言うのか固唾を飲み込んで見守った……。
『……本の中には、「Miss You」についても記載がありました。
そのことについてですが、私は金輪際……
この曲を歌うつもりはありません。』
「「「っ!?」」」
「っなんだって……!」
(おいゆり、お前どう言うつもりだ……)
全体が驚きを隠せない中、
一番動揺を隠せなかったのはゆりに楽曲を提供した廉だった。
思わず関係者席から飛び出しそうだったが柊がそれを止めた。
「廉……これはゆりちゃんたちのステージだ。
今お前が出る幕じゃない……」
「っ……ゆり……!」
(一体何がどうなってやがるゆり!!)
「っ……ゆり、本当に三船くんのことも何もかも、
無かったことにするつもりなのかよ……」
(そんなの、三船くんがどんなに傷つくかわからないのか……?
三船くんはずっとゆりを想い続けていて
お前だってそれは同じじゃないか……お前は十分に謝った……なのに、
これ以上の償いは必要ねぇだろうが……)