第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
『皆さん!
本日は私たちのステージに足を運んでいただき
誠にありがとうございます。
まず、私のほうから皆さんに謝罪をさせてください。』
_ざわざわざわ…
『『っ!』』
ゆりの言葉に会場全体がざわつき出した。
それはメンバーも同じであり涼介たちも驚きを隠せなかった。
なぜならこの場でゆりが謝罪をするということは
リハーサルの時点ではなかったからだ。
ゆり単独でこの決断をしたことに驚きを隠せなかったのだ……。
『ファンの皆さんには、あの本の一件で
多大なるご迷惑と心配をおかけしました。
また、関係者の皆さんにも沢山ご迷惑をかけてしまいました。
本当に申し訳ありません。』
頭を深々と下げるゆり、来海らメンバーはただゆりに
目を向けることしかできなかった。
しばらく頭を下げ続けたゆりは再び顔をあげ口を開いた。
『私の記事については、特に言い訳をするつもりはありません。
実際写真にあった通り複数の男性と近い距離にあったのは事実です。
ですが、これだけは言わせてください。
私は決して、複数の男性と関係は一切持っていません。
もちろん今の私に、恋愛感情を持つ人はいません。』
関係者席にいる太輔たちもその場に立ち尽くしながらゆりを見ていた。
「っゆり……」
(まさかゆり、本当に三船くんを手放すつもりなのか……
今起きているこの騒ぎを止める為に……ただファンの為に……)
『今私がすべきことは、
傷つけてしまったファンの皆さんにできる限りの贖罪をすること……。
今まで以上の努力を積み重ねてここにいるDolceのみんなと
世界一のアイドルになることが私が皆さんにできる贖罪だと思っています。』
『っ……』
(ゆり……何もそこまで自分を犠牲にしなくても……
ゆりは何も悪くないし
ただ憲吾くんだけを好きでい続けてるのになんで……)
百合もまた心を痛めていた。いくらファンの為とはいえ
自分の本当の気持ちに偽りを持つ必要性があるのかと思った……。
「っ……」
(ゆり……やっぱり俺は、
お前の隣に居る資格がないってことなのか?)
憲吾もまたゆりの言葉に心を痛め
ただゆりを見るしかできなかった……。