第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
自分の席にやってきた剛太、
どうやら自分の席は違和感を感じた男の隣のようで
剛太はさりげなく男の顔を見てみた。
「っ……」
(ほんと背高いなこの人、余裕で180越え……それに、
俺が見た東郷響に似てなくもない気がする……サングラスも掛けてて……)
剛太は少し警戒しながら席に着いた。
「えっと……俺の席はここか……」
(もしコイツが東郷なら、俺のことは分かってるはずだ……
アイツが俺とゆりの写真を直接渡したって言うなら……)
剛太は何も知らないフリで男に話しかけてみた。
「結構ひとりできてる人も多くてびっくりですよ。
僕初めてライブに来たものですからちょっと緊張してて(苦笑)
お兄さんは結構慣れてるんですか?」
「……オレも初めてだ、部下が行けなくなったからその代わりだ……」
「へぇ……そうなんですか!」
(コイツが東郷なら、部下は田澤ってところか?
アイツは自分で行く風でもなかったし誰かに譲るってなったら
東郷に渡しててもおかしくない……けど、)
裏組織のボスがこんな人目につくような場所に来るだろうか……
翔たちをはじめとした公安や警察が警備を厳重にしてるなら
尚更だと剛太は思った。
だがジュリも組織を潰そうとしているなら東郷を陥れるために
仕組んだのではないかという可能性も考えた。
お互い探りを入れる2人だったが響はただ他人を貫くことにし
剛太はまだ隣の男が響だと断定はできなかったので様子を見ることにした。
一方でこの2人にライブに行くよう促した樹、樹は当初の予定通り
スタッフに紛れていたが予想外の展開になっていた。
「「……。」」
「……。」
(まーさか、めめとこーじまで付いてくるとはさー……汗)
樹のそばには樹同様にスタッフの格好に扮した目黒と向井がいる。
響に断れた2人は可能な限り響のそばにいたかったが響が普通のチケットで
入場している限り自分達が一緒にいることは不可能であった。
そして2人はとあることを思いついた。
自分達もスタッフに扮すればすぐ近くと言わずとも響の様子を見ることができ
また樹の監視もできるメリットも見つけた2人は半ば強引に樹の後についてきたのだ。
「あのさ……」
樹は2人の肩を持ち目立たない場所に連れて行った。