第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
不安に飲まれているゆり、そんなゆりの心境を察したのか
隣に座っていた千鶴はゆりの肩に手を置いた。
「ゆり、かなり緊張してるわね……正直なところ、
生放送の時みたいなことが起きる可能性はある……けど、
全員がそういうわけじゃない……」
「っうん、わかってるよ……ごめん、心配かけて……」
「いいのよ、それくらいで謝らなくて……今回は私たちだけのステージ、
何かあったら私たち全員ゆりを助けるつもりでいるわ。
貴女は独りじゃない……」
「っ……ありがと千鶴、」
ゆりはふと他のメンバーも見渡してみた。
すると他のメンバーもゆりのほうに目を向けており
優しい眼差しでゆりを見ていた。
それは自分達はゆりの一番の味方だと言わんばかりの表情だった。
「「……(微笑)」」
「っ……ありがとう、みんな……」
それに応えるように小さく微笑むゆり、
ゆりは不安が少し取れた気がし心を落ち着かせ会場に向かった。
そして会場に入ったゆりたちは楽屋に荷物を置き
リハーサル向けのラフな服装に着替えた。
ちなみにメイキングなどに使われるドキュメントの撮影も行われる為
ゆりたちには撮影スタッフが1人ずつついている。
撮影の際には他のスタッフやマネージャーも映るようになっているが
涼介らマネージャーたちは顔出しNGとなっているため後々加工される。
ゆりたちはリハーサルを始める前に軽く国立競技場内を視察。
以前も数回来ているが今回はライブ仕様に変わっているため少し新鮮だった。
「おお……前回来た時とやっぱり違うわねー……」
「わあ……ここにいっぱいお客さんが来るんだね!」
来海は顔を上げながら会場を一周見渡した。
来夢も見渡しておりここがお客さんでいっぱいになる事を楽しみにしていた。
「……。」
(本当に大きな舞台……選ばれた者しか立てないステージ……
ここに何時間後、わたしたちが立ってるなんて……)
再び緊張が走るゆり、ゆりも会場一体を見た。
そして特に憲吾たちが来ることを知らないゆり、
ゆりは小さく憲吾の名前を呟いた……。
「憲吾……」
(憲吾にも、私のステージ見て欲しかったな……)