第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「「っ……」」
「それまでのやり方じゃゆりちゃんは絶対東郷さんに振り向かない。
……そんなこともわからないの?」
「は?」
「なんやと?」
樹の言葉に怒りを露わにする2人、樹は構わず言葉を続けた。
「東郷さん慕うのはいいけどさー、
東郷さんにとって何が良いのか考えるのもお前らの役割だろ?」
「何偉そうなことを……」
「俺らは俺らなりに考えとる、お前に言われる筋合いはない……」
「ま、オレらがどうこう言おうと決断するのは東郷さんで
オレらはそれに逆らうことは許されない……それがこの組織の掟でしょ?」
「「っ……」」
唇を噛み締めながら樹を睨む目黒と向井、
樹はしばらく2人を見ると2人の間を抜けた。
「言いたいことあるなら、直接東郷さんに言いなよ。
こんな目の前にいんだからさ……ま、
君らがどうこう言って変わる気はしないけどねー」
「っ貴様……!」
「俺ら、見下してんかおめぇ……」
「別に見下してもいないよー?
とにかく、こんなところで言い合ってたらそれこそ東郷さんに叱られちゃうよ?
んじゃ、オレ帰るからあとはよろしくー」
「「っ……睨」」
樹は背を向けたまま手をヒラヒラと振りながら2人の元を去って行った。
「……。」
(おー怖い怖い……最近は響さんよりあの2人が怖いわー……)
そんな事を思いながら本部を後にする樹。
そしてライブまではあと2日、
Dolce最大のライブツアーがまもなく始まろうとしていた。
日はあっという間に経ちライブツアー初日である11月23日になった。
ゆりたちDolceは午前中からリハーサルが入っており
朝食を食べ終わり次第現地に向かった。
「いよいよだね、今日はツアー初日……」
「「っ……」」
来海はロケバスに乗りながら呟いた。
他のメンバーも本番までだいぶ時間があるとはいえ緊張した雰囲気が流れていた。
ちなみにキラたちアンドロイドも一緒に乗っており
ユウはゆりに抱かれていた。
「っ……」_ギュッ…
『っ……』
(ゆりちゃん、凄く不安そう……)
ユウを抱きしめるゆり、やはりゆりは今自分達のファンが
自分をどう思っているのか、
またあの時のように罵倒されたらどうしようという不安に飲まれていた。