第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
そして日は刻々と進みツアーが始まるまでもう3日前になった。
あれからゆりの元に響が現れることもなく
ゆりも仕事ではファンの前に立つ事はほぼなかった為
あれ以来ゆりに直接誹謗中傷する者はいなかった。
SNSをはじめとしたネット上ではまだ収まる気配はなかったが
歌番組生放送の収録前に起きたことはその時参加していた
ファンからの口コミやつぶやきによって拡散され本が販売された当初よりは
ゆりに誹謗中傷する者はいくらか減ったが
やはり納得できないファンの方がまだ多いようだった。
あれ以来ゆりの元に現れなくなった響、
樹はそんな響をずっと不思議に思っていたのか造園師の仕事終わりに
銀狼本部に足を運んでみていた。
「ちーっす、東郷さんいるー?」
「ん、ジュリやないか……」
「東郷様ならいない、と言いたいが生憎といらっしゃる……」
「君たち、相変わらずオレっちに冷たくない?笑」
本部に行ってみれば向井と目黒がおり樹を見るなり
不服そうな表情を見せてきた。
「東郷様と近いからって、いい気になるなよ?」
「っちょ!怖いよめめちゃん!」
「"めめ"と呼ぶなッ!このチャラ男が!!」←
樹に『めめ』と呼ばれ目を大きく開く目黒、
余程樹のことが気に入らないらしい……。
「……んで、アンタの用はなんや?
餓鬼どもに何か進展でも?」
(ただ東郷さんに会いにきたって言ったら絞められそー……)
「まぁそんなところ!
ゆりちゃんのライブも後数日で始まるしねぇ……んで、
通してくれるの?」
「「……。」」
2人は渋々そうに道を開けた。
「ありがとね〜」
手を振りながら響の元に向かう樹であったが目黒は樹に声をかけてきた。
「おい、」
「ん〜?
どしたのめめちゃん、」
「だからめめと呼ぶな!!……お前、知ってるか?」
「ん〜……何が?」
「この組織に、裏切り者がいるって話だよ……。」
「へぇ……北京では紛れていたしいてもおかしくないかもね」
(何だよ急に……まさかコイツ、オレのこと感づいて?
いや、コイツらにそこまで感づくほどの洞察力はない。
ならやっぱり響さんが?)
目黒に疑いの目をかけらたような気がしてならない樹、
自身がスパイなのがバレているのではないかと不安に感じた。