第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「東郷様は、言っていた。
この組織には裏切り者が紛れ込んでいると……それも、
割とすぐ近くにとのことだ……」
目を細めながら樹を見てくる目黒、樹は品定を受けているような感覚に陥った。
「それがオレと何関係あんの?
まさか、オレが裏切り者だって東郷さん言ってんの?」
「いや、東郷さんは言ってはおらん……だが、
側近で怪しい奴といえば、な……」
向井までも冷ややかな視線を樹に向けてきた。
どうやらこの2人は自分を疑っているのだということがすぐ伝わってきた。
「……2人はオレのこと怪しんでるってわけ?
ただゆりちゃん達監視してるだけなのに?」
「お前のその飄々とした雰囲気、前から気に食わなかったが
お前は読めないことも多い……まるで本質を悟られないようにな……
どこかのスパイでも、おかしくないだろ?」
「えぇ……それこそ雰囲気だけで言ってんじゃん!
オレがスパイだって証拠、どこにあんのよ?
証拠もないのに大切な仲間にスパイだなんて決めつけられるの、オレ超悲しいよぉ……シクシク、」
「最後のわざとらしい泣き方やめろ、胡散臭い。」
「目黒も相変わらずズバッと言うなぁ笑
……ま、怪しいって思った以上俺らは粗探しさせてもらうで?
お前が本当にスパイやないなら、いくら探してもないんやろ?」
「っ……あぁ、そうだね……」
(コイツら、隙あらばオレのこと消そうとしてんな……
どんだけ響さん崇拝してんだか……)
樹はとりあえず相打ちをすると再び背を向け響がいる仕事部屋へ向かった。
_コンコン「東郷さん、ジュリです。
今入っても大丈夫っすか?」
「……入れ。」
「ウィーっす、」
響に許可をもらい部屋に入る樹、響は樹が入ってくるなり
椅子に座ったまま見上げてきた。
その表情にはイラつきがあるようにも思えた。
(こわっ……何にイラついてんだか……)
「……東郷さん、あれからどうっすか?
最近ゆりちゃんのところに顔出してないみたいっすけど。」
「お前は何しに来た……特にこれといった報告があるわけでもねぇだろ。」
「まぁ……3人とも特に変わりはないっすね。
強いて言うなら、三船くんと宙くんは3日後のライブに参加するみたいですけど」
「……。」