第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「何か変わるんじゃないんですか?」
「っ……」
「っ……とにかく、今貴方がしてることは私にとって無意味なことです。
このまま、何も変わるものはありません……」
「ッチ……」
「っ……?」
響は再び舌打ちをするとゆりから手を離し解放した。
腕を下ろすゆりは不思議そうに響を見た。
「今日は萎えた……帰る……」
「っ……」
「……じゃあな、」_シュッ!
「っ!」
そう言うと響はベランダの柵に飛び乗ったと思えばそのまま飛び降りた。
ゆりはビックリしながらも慌ててベランダの下を覗き込んだ。
だが響は暗闇の中へあっという間に消え
ゆりの視界に捉えることは出来なかった。
「っ……ほんと、忍者みたい……けど、」
(私を最後まで犯さなかったのは、
何かを感じ取ってくれたからなのかな……響さん、
自首までもいかなくていいから少しでも変わってくれたら……)
ゆりは響に何か一つでも響いていればいいと思いながら
乱れた服を整えると部屋に戻り窓を閉め鍵もしっかりとかけた。
ベッドに戻ろうとした時、いつ起きたのか
ユウがベッドの上に立ってゆりを見ていた……。
『……。』
「っユウ……起きてたの?」
『うん……ゆりちゃんが起きた後、割とすぐだったかな……
あの人、来たんだね……』
「っうん……でも、何とか未遂で済んだよ……これで当分、
あの人が現れることはないと思う……でも鍵はしっかりと閉めないとだよね……
寮だからって油断しないで……気をつけるよ……」
ゆりはユウを抱き上げながらベッドに潜り込んだ。
『……ゆりちゃん、あの人のこと嫌いじゃないってほんと?』
「っそんなところまで聞いてたの……?」
『……。』
「……私も結局ママの子なのかな……私にあの人は、
完全な悪人には見えなくて……ただ、心が寂しい人なんじゃないかって……」
『……ほんと、お人好しなところそっくりだと思うよ……けど、
誰かを必要以上に非難しないところが
ゆりちゃんのいいところだと思うよ……』
「ありがとユウ……それじゃ、もう寝よ。
明日休みだけど何もないのに夜更かしは健康にも美容にも敵だし。」
『うん、そうだね……』
2人はベッドに入り再び眠りにつくのだった。