第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
車を走らせる中、ゆりは何も喋ってこなかったが
先ほどよりは精神が安定しているように見えた。
涼介はそれだけでも救いだと思いながら寮に向かうのだった。
そして間も無くして車は寮の目の前まで着いた。
「ゆりちゃん、着いたよ?
もしかしたらみんなゆりちゃんの部屋にいるかもしれないけど大丈夫?」
「……。」_コクッ
ゆりはしばらくの間をおいてから小さく頷いた。
「じゃあ、俺までが部屋の前まで送らなくても大丈夫そうだね。
一応俺もこの後事務所に行かないとだから……
宿題もあるだろうけどゆっくり過ごして?」
「はい、ありがとうございます。
それじゃ、お疲れ様でした。」
「うん、お疲れ様……」
車を降りゆりは寮の中へ入っていった。
そんなゆりの背中を見送ると涼介は事務所に向かうべく
再び車を発進させるのだった。
そして少し重い足取り自分の部屋に向かうゆり、
メンバーとも少し気まずいが今最も気まずいのはユウのほうだった。
ゆり自身もなぜユウに対しあそこまで感情を露わにしたのか
冷静になった今でも理由がよくわからなかった。
ただその時は本当にユウに言われたことにイラついてしまったのは
確かなことだった……。
_ガチャッ…「っ……」
(靴が6足……キラちゃんと、メンバー5人分の……)
ドアを開けると靴が6足ありメンバーたちが部屋にいることがすぐにわかった。
そしてドアの開く音が聞こえてきたであろうキラたちがリビングのほうから
ドタドタと駆け足でゆりの元に駆け寄ってきた。
『っゆり……!!』
「っキr…_ギュッ!『本当に心配したんだからっ!』っ……ごめん……」
キラはゆりに思いっきり抱きついた。
少し驚きながらも謝罪の言葉を述べるゆり、キラの後ろにも
目を向けてみると来海をはじめとしたドルチェの5人も立っており
みんなホッとした様に目に少しの涙を浮かばせながらゆりを見ていた。
そんな中先に口を開いたのは来海だった。
「ゆり、おかえりなさい……」