第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「っ……」
「俺が思うに、ゆりちゃんはアイドルとして十分にこなしてきたと思うよ。
だって、好きな人がいるって知られた時も
めちゃくちゃファンが減ったわけじゃないんでしょ?
逆にそれすげぇじゃん、ファンさえも認めさせるような力が
ゆりちゃんにはあるってことが。」
「っ……」
「……ゆりちゃん、」_むにゅっ
「っ!?」
タイスケは俯いていたゆりの顔をあげるよう
両手を頬に持っていき自身のほうへ目がいくよう固定した。
「アイドルだって人間、だからアイドルだって恋はするし恋人だって作る。
俺だってこうして、ゆりちゃんのこと好きだしさ。」
「っ……」
「だから俺だってアイドル失格、
自分のファンも大事だけど俺だって人間だから……
ファンよりは本当に好きな子を大事にしたいって思う。」
「っ……」
「俺、ファンかゆりちゃんどっち取るって言われたら
問答無用でゆりちゃん取るよ。
……だから人間である以上完璧な存在なんて無理、
神様じゃなければ本当の完璧なんてなれっこねぇよ……」
「っ……」
「だから、無理して "完璧な藤ヶ谷ゆり" になんてなろうとすんな。
ゆりちゃんが誰よりも努力家で頑張ってることは
俺以外にも知ってる奴は沢山いるだろ?
……それにファンはさ、そういう志があるってわかるだけで
自分達の期待に応えようとしてんだってことが伝わるからその気持ちだけで
十分なくらいなんだよ。ゆりちゃんがこれからしようとしてることはさ、」
「っ……」
「だから、これ以上自分を追い込むな。
今のままでいい。ゆりちゃんが苦しんでるところなんて、
誰も見たくねぇんだよ……」
「っ……今の、ままで……」
「そ。努力すんなって言ってるんじゃねぇよ。
これまでも十分な努力をしてるから、
それにプラスαするくらいでいいってことだよ。」
「っ……」
_ギュッ…
再び涙を流すゆり、タイスケは両頬から手を離すと
再びゆりの背中に腕を回して抱きしめた。
「ゆりちゃんは本当にえらいよ。
これまでも、今でも……本当に頑張ったね(微笑)」
「っ!」
「ゆりちゃんには、沢山の味方がいるから……」
「っ……」