第23章 ☆憲吾ルート☆ Happy END後編
「だって目の前にゆりちゃんがいるんだもん。」
「っ……」
「ゆりちゃんが目の前にいるだけで、
コンサートに来てくれてるお客さんはみんな満たされんだ。
もし目の前にいんのにファンサどころか笑顔見せてくれなきゃ
『何だよ何様だよ!怒』……ってなるだろうけどさ、
ゆりちゃんは一切そんな事しないじゃん?」
「っ……」
「ちょくちょくゆりちゃんたちのライブには見学行くけどよ、
ゆりちゃんは誰よりもお客さんを見てる。
目の前のお客さんを喜ばせたいんだ思ってるんだってこと、
俺にはすげぇ伝わってくるんだぜ?」
「っ藤ヶ谷さん……私、完璧な藤ヶ谷ゆりになりたい……
憲吾を失ったことで消えた輝きを戻すためにはそれしかないって……
アイドルとして、もう一度立ち直るためには完璧な私に……」
「"完璧な藤ヶ谷ゆり"って何?
みんなが想像している通り、
ツンデレだけど純粋無垢でセックスのセも知らないような天使?
自分はアイドルだからトイレにも行きません的なやつ?」
「っちが…!そういう意味じゃ「人間、何でも完璧なんて無理だろ。」っ……」
「ゆりちゃんの三船を好きでいる真っ直ぐな気持ちは、すげぇことだよ。けど、
ファンにとったらそれは裏切りともとれる行為。
むしろ、アイドルとして一番タブーじゃん。
アイドルなのに恋人がいるって。
しかもゆりちゃんの場合はいませんで隠し通すんじゃなくて
堂々とファンがいるステージで『一番大切な人』がいるって伝えちゃってるしさ、
この時点でゆりちゃん本気で好きだったファンは失恋確定じゃん?
いわゆるガチ恋勢の奴ら。
……その時点で、
本来アイドルとしては失格じゃないの?ゆりちゃんはさ、」
「っ……」
はっきりとタイスケから『アイドル失格』と宣言されたゆり、
涙で潤んでいた瞳を下へ俯かせた。
「だから、ゆりちゃんが今から完璧な藤ヶ谷ゆりになるんて無理!
それに、これ以上高み目指してどうすんのさゆりちゃんはさ、」
「っ……」