第22章 ☆憲吾ルート☆　Happy END前編

「はい…！」


風磨は涼介の言葉に返事をするとそのまま席についた。
そして事務所を出た後の話を続けた。


「あの後来海とは新宿にある飲食店に行ってご飯を食べました。
さすがの来海も、最後に見せたゆりちゃんの様子と
愛美ちゃん千鶴ちゃんについては動揺を隠せなかったみたいで……
何でもっと優しい言葉をゆりちゃんに掛けることができなかったのかって、
泣いてました……」

「さすがの来海ちゃんも、堪えているんだね……まあ無理もないよ。
あの時のゆりちゃんの様子は、誰にも想像できなかったものだからね……
それで、今日の来海ちゃんの様子はどうだったんだ？」

「はい、仕事についてはいつもの通りで大丈夫でした。
それにメンバーの中で来海は唯一の高校生、校舎も他のメンバーと違いますから
気持ちに余裕はあったほうだと思います。
けど、もしメンバーと誰かしら一緒だったら
さすがの来海もメンタルやられてたと思います……」


風磨はあまり来海の姿を思い出したくないのか
苦い表情を浮かべながら説明を続けていた。
涼介は軽くメモをしながら話を聞き続け
次は愛美のマネージャーである侑李に話を振った。


「それじゃ、次は知念が説明してくれる？
ゆりちゃんに続いて、あんな愛美ちゃんはみんな見たことなかっただろ？」

「うん……それじゃ、愛美ちゃんについては僕のほうから説明させて頂きます。
愛美ちゃんはゆりちゃんが出ていった後に来海ちゃんに対して

『ゆりちゃんの気持ちを考えてから発言して。』
『自分と千鶴ちゃんはずっとゆりちゃんに気を遣っていたのに。』

って反論しました。実際、愛美ちゃんが言うように２人は打ち合わせ時は勿論
学校でも気を配っていたようです。
２人はゆりちゃんの様子がおかしいと思った時から気に掛けていて
最初の頃は積極的に声を掛けていたみたいです。」


「……けどゆりちゃんは頑なしに事情を話さなかった、ってとことか？」

「うん……それでさすがの２人もこれ以上ゆりちゃんを
問い詰めることは止めることにしたみたいです。
担任の先生にも、そんなふうに言われたみたいで……」

「担任の先生？」