第7章 ☆Story25☆ 収束
「……。」
「っ空太……」
複雑そうに金狼こと空太を見る海斗。
金狼は海斗の方に顔を向け、
「……お前のことは、もう何とも思ってねぇ……
俺は班田さんの命令に従う、ただそれだけだ……おい藤ヶ谷ゆり、」
「っ!?
っは、はい……!」
突然名前を呼ばれ驚くゆり。
「……これ、お前のバッグと人形……
もう用はねぇ……ほらよ、」_ぶんっ
金狼はゆりのトートバッグとユウをゆりに向かって投げた。
「っ!」
ゆりはトートバッグを受け取り、
ユウは周りにばれない程度にゆりに向かって飛び込んできた。
「っユウ……無事だったんだね……(微笑)」
『……(微笑)』
思わずユウに声をかけるゆり、
ユウもゆりだけに見えるように笑った。
「……親父のことをパパって言ったり
ぬいぐるみ に話しかけたりして……まだまだ子供だなお前は……」
ちょっと呆れ気味に言う金狼。
「……だって、私はまだまだ子供ですからっ_ニカッ☆」
ニカっと笑うゆり。
「……。」
金狼は不思議そうにゆりを見た。
「パパは私にとって大切なパパで、
ユウは私にとって大切なお友達なの……。
正直、パパと離れている時はひとりがすごく寂しいけど……
今はユウがいつもそばにいるから、今は寂しくないんだ(微笑)」
「っゆりちゃん……」
涼介はゆりの背中をぽんぽんと撫でた。
「……今はひとりだとすごく寂しいけど、少しずつ大人になっていくよ。
ユウがいなくても、大丈夫になるように……」
(ユウはいつか、私の前から消えてしまう……ぬいぐるみはそのままでも、
このユウはいつか消えてしまう……だからそれまで、
私は大人にならないといけないんだ……)
ユウを見つめるゆり。
「……変な餓鬼だな……「空太、」
その名前は、嫌いだって言ってんだろ……」
「お前は、ずっと班田さんに、ついていくのか……?」
「あぁ……今さら優等生になんて、戻らねぇよ……
お前はもう、これ以上こっちの世界にはくんな。
……言い出しの俺が言えた義理じゃねぇが……」
「……。」