第2章 おしおきの話
「えっ?いやぁ…そのぉ…」
ノンはエレンの不機嫌そうな顔を見上げながらしどろもどろ答えた。
そんなノンをエレンは一瞥すると小さくはぁ、と、溜め息をついた。
そして感情のこもってない表情で口を開く。
「帰って下さい」
吐き出された冷たい言葉にノンは身体の中からくつくつと何かが煮え滾る様に腹が立った。
「イヤっ!帰らないッ!」
「…は?」
明らかに迷惑そうに眉を潜めるエレンに負けずと叫んだ。
「数学!ちょっとでもやって貰わないと帰らないから!」
「………」
そう叫んだノンの目にはうっすら光るものが溜まっていた。
エレンはというと何度目かのため息を吐き出すと、「めんどくさ…」と呟いた。
ガチャリという機械的な音がその場に響く。
ノンは俯いていた顔を上げ、エレンが部屋に入って行った姿をじっと眺めていると、部屋の中から入んないんですか、という声が聞こえて来てノンは自然と笑顔になった。