第2章 おしおきの話
ノンはだらだらと、それはもう体中の水分がなくなるんじゃないかというほど冷や汗をかいた。
鼓動はどくどくと激しく鳴る。
いやいや!
ありえないでしょ!
あの人!
この状況で私を一人置いて行きます!?
全く理解不能!
どうすればいいわけ…
むくり、と。
ドアを見つめていたノンは背後に人が動く気配を感じた。
たらり、と、また汗が滲む。
こくんと喉を鳴らし、手をぎゅっと握りしめ、ノンは後ろに振り返った。
先程エレンと呼ばれていた少年が寝ていた状態から体を起こし、ベッドに座ってこちらをじっと見ていた。
彼の顔は意外と整っていて、同年代からモテるだろうな、という顔だちだった。
母に似た、金色の大きな瞳と視線が絡み合う。
寝起きのせいか、その瞳に意思は感じなかったが、じっと見つめられてはこちらも簡単には視線を反らせない。
ノンはとりあえず、声をかけてみることにした。