第6章 夢の中
ピンポーン
家のインターホンが鳴る。
今何時?
外は真っ暗・・・
夜中?
「綾ちゃーん?お友達来たわよー。」
母さんの声が下から聞こえる。
友達?
僕はまだ取れてない眠気を目を擦って覚ます。
階段を下り、玄関に向かう。
「はーい。」
「綾斗!おはよ!」
「うわぁ?!////」
柊だった。
急に抱きしめられる。
「ちょ、待ってっ!離して!?////」
母さんに見られたら・・・
「あら、朝から元気ね(笑)」
母さんがキッチンからエプロン姿で出てきて微笑んだ。
「おはようございます。朝からうるさくしてすみません。」
「いいのよ。それより・・・電車大丈夫?」
え・・・今何時!?
「あと40分あるから大丈夫ですよ。」
「そう?綾ちゃん早く準備しなさいね。ご飯もできてるから。お友達も・・・えーと・・・」
「柊です。」
「そう、柊くんも上がってていいわよ。」
母さん何か今日いつも以上に機嫌がいい。
僕が、友達を連れてくることがないからかな?
しかも柊の方から家に来たし・・・
「いってきまーす!」
「お邪魔しましたー!」
僕と柊は駅まで走った。
この時間ならギリギリ間に合うかな。
少しずつ柊との差が開いてきた。
足速いな。
心配になったのか、柊が僕の手を引いて走ってくれた。
速すぎる・・・
しかも手繋いでるし!
ただでさえ走って心臓バクバクなのにもっと心拍数が上がりそう。
「はぁはぁはぁ!間に合ったぁ・・・」
人がいっぱいで座れない。
「ひいらぎって・・・足速いんだね・・・はぁはぁ・・・っていつまで手繋いでんの!?////」
「うーんずっと?」
「離して!////」
これ以上は無理!
僕は無理矢理手を引き剥がし、柊とは逆方向を向いた。
本当に心臓が持たない・・・
「綾斗・・・」
「ひゃいっ////」
耳元で囁かれる。
変な声が出た。
「寝癖取れてない・・・」
「あっ・・・////」
「ぷ、はは(笑)顔真っ赤!可愛いな、ほんと。」
「うぅ・・・////」
「どうしよう、凄く抱きつきたい。」
「だ、ダメだよ・・・人いるし////」
「じゃあ・・・」
すると、後ろから僕の肩に頭を乗せて手を繋いできた。
「これだけ。」
窓に写る僕の顔は今までにないくらい真っ赤だった。
全てが夢みたいだ。