第5章 幸せな時間
夜はやっぱり冷える。
雪も降ってきた。
僕は寒さに身震いして手をポケットに突っ込む。
もう少し厚着してくるべきだったかな。
「綾斗、寒い?」
「うん、少しね。もう少ししたら家に着くから我慢出来るよ。」
「・・・手繋ぐ?」
「へ!?手!?////」
「そっちが暖かいかなって。」
「い、いいよ!平気だから!////」
「そう?」
今ので少し暑くなった・・・
僕達はそのまま会話無く家まで歩いた。
珍しく柊が黙っている。
いつもなら話が絶えないのに。
もしかしてさっきの傷付いた?
手繋ぐの断ったから?
でも、別に友達同士だし、傷付く要素ないはず。
僕の気のせいかな?
家の前まで来た。
着いちゃったよ。
これで、今日1日が終わる。
「綾斗!」
「なに?」
柊が急に声をかけ、僕は足を止めた。
真剣な表情をして、どうしたのかな?
「その・・・俺・・・////」
声が震えてる。
こんな柊初めて見た。
「どうしたの?俯いちゃって・・・」
柊は俯いたまま震えていた。
緊張しているようにも見える。
柊はひと深呼吸置き、顔を上げた。
「・・・俺・・・今日はすごく楽しかった!ありがとうな!」
「・・・僕もだよ!凄く幸せな時間だった!」
「よかった・・・また誘っていいか?」
「勿論だよ。また遊ぼう。」
告白かと思った・・・
そんな訳ないよね。
「じゃあね、柊。気をつけて帰ってね。」
「うん、おやすみ。」
「おやすみ。」
幸せな時間は直ぐに過ぎてしまう。
柊の姿が見えなくなって、僕は家に入った。