第5章 幸せな時間
「荷物ここに置いときます。」
天井がぼんやりと薄れている。
僕寝てた?
さっきの声って柊だよね?
「柊くん、ありがとう。あとは家の方に連絡入れとくから。」
「よろしくお願いします。あの、少し様子見てもいいですか?」
「寝てると思うけど・・・少しならいいよ。」
荷物持ってきてくれたんだ。
もう帰る時間。
体調も戻り、体を起こした。
カーテンがシャっと開き、柊が入ってきた。
「綾斗!起きてたのか?」
「今起きた。荷物ありがとう。」
「矢野くん、体調はもう大丈夫なの?」
「はい、寝たらスッキリしました。」
腹痛も無くなってる。
「自分で帰れそう?」
「はい。柊も一緒なので。」
「そうなのね。じゃあ柊くん、あとはお願いしてもいい?」
「はい。綾斗、帰ろ。」
「うん。先生ありがとうございました。」
僕達は保健室の出入口で頭を下げ学校を出た。
仁達はもう帰ったのかな?
学校は学生が既に居ないように思えた。
「綾斗、本当にもう大丈夫か?顔色悪かったけど。クリスマスも無理しなくていいぞ?」
「平気だよ。クリスマスも折角誘ってくれたんだから。」
それに、何のためにあんな辛い思いしたのか意味が無くなる。
皆で思い出作りたい。
「じゃあ、仁に伝えとくな。」
「うん。ありがとう。」
電車の中はお互い沈黙の時間が続いた。
柊は僕の体調を気にしての事だろう。
「じゃあ、また明後日ね。」
いつものように手を振り柊とは逆方向に歩いて行こうとした時、腕を掴まれた。
「待って。・・・家まで送る。」
「え・・・いいよ!そんな!」
「いいから・・・心配なんだ。」
柊の押しには弱い。
「わかった・・・」