第3章 デート?
やっと帰り着いて、自分のベッドにダイブする。
「はぁぁぁぁ。」
一気に力が抜けた感じがして大きな溜息が出る。
疲れたぁー。
ピロン
「ん?」
携帯が鳴り、画面を確認すると柊からだった。
『今日はありがとう!25日楽しみにしてる!』
「ふふ。」
可愛いな・・・
カッコイイだけじゃなくて、こういう可愛い所も好きだ。
『こちらこそ。』
それだけメッセージを書き、返信する。
そう言えば、賢二さんにも返さなきゃだった。
『ごめん。その日は用事があります。』
よし。
これで・・・
え・・・待って・・・
今更だけど・・・これって・・・
「デート!?」
思わず大きい声が出た。
待って待って!
え、2人っきり!?
そんなの・・・心臓持たないって・・・
てか服何着よう・・・
普段着じゃちょっと・・・
少しオシャレな服買わないと・・・
髪型は!?
ワックス買ったがいいかな!?
1人でバタバタと部屋中を探し回る。
けどやっぱ・・・楽しみ・・・
勝手にニヤニヤと笑みが零れる。
手に持っていた服を握りしめニヤケていた時、ドアが開いた。
「なーに騒いでんの?」
「え・・・」
今まで楽しみで高鳴っていた鼓動が、一気に恐怖の鼓動へと変わった。
「久しぶり、綾斗。」
「兄さん・・・」
5歳年上の従兄弟の皇(こう)兄さんだ。
訳あって小さい頃から一緒に住むことになり、大学は地元を出て一人暮らしして通っている。
「帰ってたんだ。」
「冬休み入ったからね。それより夜ご飯どうする?」
「え?母さん達は?」
「居ないよ。2人で外食しておいでって言ってきたから。」
そんな・・・
て事は今家には僕達だけ?
扉が締まり、鍵をかけられる。
「ねぇ、何騒いでたの?綾斗。答えて?」
「な、何も・・・無いよ・・・」
「嘘でしょ?俺には全部分かるよ?」
「ほんとに・・・何も・・・」
「綾斗・・・嘘は嫌いだな・・・」
「ほ、ほんとだよ?・・・何も無いから・・・うっ!」
頬を殴られた。
久しぶりに感じたその痛みは今までの何十倍も痛く感じた。