第14章 本音と嘘
綾斗side
「僕は前みたいに暮らしたいだけ。そこに兄さんが居ない生活なんて考えられないんだ。勿論怖いよ。でもあの人は僕の兄さんだ。」
周りから見れば僕の考えはとても信じ難いと思う。
あんな事までされといてまだ一緒に居たいなんて・・・
「綾斗の考えは分かった。それに、綾斗を大事に思ってくれている2人の考えもね。」
僕達の意見をまとめてくれて、一つの案が出た。
『兄さんに治療を受けてもらってまた一緒に暮らす。』
この意見に誰も反対することは無かった。
実際に兄さんに人格が幾つかあるのかは分からない。
検査を受けてみないことには。
それから僕達は解散し、両親が先に帰って行った。
僕は真織に引き止められ、少し一緒に居たいと言われた。
真緒の家に行き、2人の時間を過ごす事にした。
「久しぶりだね、こうやって2人っきりで会うのは。」
「うん・・・綾斗・・・」
真織が後ろから力強く抱きしめてきた。
今まで過ごせなかった時間を埋めるかの様に。
「ずっとこうしたかった。抱きしめたくて堪らなかった。」
「・・・キスは?」
意地悪く尋ねてみた。
真織は答える間も無く深くキスをしてきた。
「んっ・・・これだけ?////」
「もっとしたい・・・けど、まだ綾斗の身体が心配だから・・・今日はこれだけ。」
「・・・寂しいな・・・僕は平気なのに。」
「・・・正直言うと、綾斗の両親見て少し申し訳ないなって。俺とはただの仲のいい友達だと思ってる。」
「そんなの気にしなくていいのに・・・」
いずれは僕達のことを話さないといけない。
反対されるかな・・・
「じゃあ、今日はしないの?」
「・・・しない。キスだけ。全部解決してからにしよう。」
「わかった。」