• テキストサイズ

【R18】初恋を君に

第13章 矢野綾斗という男


早朝。
向かいの2番のりばに立つ、イヤホンをした同じ歳位の男の子。
たまに寝癖をつけ、眠そうにしている。
俺は毎朝その子を見て、学校に向かう。
その子とは反対方向の学校。
だから、会うことは無い。
そう思ってた。

俺は2年近くその子に恋心を抱いている。
相手は男なのに不思議だ。
でも、間違いない。
どんな時でも彼の事を考えてしまう。
名前も知らない、趣味も知らない。
年齢も声も性格も知らない。
でも何故か好きになってしまった。
一目惚れと言うやつだろうか。
俺の初恋だった。

元々根暗だった俺は、その子に恋をしてから身なりに気をつけるようになった。
していた眼鏡もコンタクトにし、長かった前髪もボサボサだった髪も毎朝セットして出かけるようになった。
少しでもその子に気づいて欲しくて。

途中は諦めかけて、他の子と付き合う事もあった。
それでも、本気になる事は出来なかった。

そんな時父さんが病に倒れ、入院することになった。

「父さん!!」

「真織・・・ごめんな、急にこんなことになってしまって。」

「治るの?」

「分からない。このままずっと入院することになりそうだ。」

父さんの地元に帰ることになり、俺も転校せざるを得なかった。
高校生活あと1年半なのに。
それに、あの子にもう会えなくなるのが嫌だった。
でも、そんなことも言っていられない。
完全に俺の初恋は諦めることになった。
/ 215ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp