第10章 特別だから・・・
春休みも終わり、僕達は今日から3年生。
桜の花も満開だ。
学校に着くと、早速廊下は混雑していた。
新しいクラスが貼り出されているんだ。
新入生はあまりの人の多さに驚いている。
中には突き飛ばされる子もいる。
「いて・・・」
僕の前に男の子が突き飛ばされてきた。
「大丈夫?」
「あ、す、すみません!」
胸元に1年生だと分かる赤いネクタイピンを刺している。
僕達は黒だ。
去年は青。
その子は僕が差し伸べた手を取り立ち上がる。
1年はやっぱり可愛い。
「今日はクラス替えでこっちはかなり混むから逆側の階段使ったがいいよ。」
「あ、ありがとうございます!えっと・・・お名前・・・」
「矢野綾斗。よろしくね。」
「綾斗先輩・・・はい!それから・・・お隣の・・・」
柊の方を見ている。
先程から隣から殺気立ったものを感じていたけど無視していた。
「どうも、柊真緒です。よろしく。」
「はい、柊先輩!」
何か冷たくない?
「じゃあ、俺教室に行きます。ありがとうございました。」
「うん、またね。」
手を振って見送る。
僕もあんな時期あったな。
人が多過ぎて全然通れなかったの懐かしい。
「何で綾斗だけ下の名前?」
「へ?」
振り返ると柊が口を尖らせ拗ねていた。
相手は1年生ですけど。
「絶対さっきの子、綾斗の事好きだ。」
「ないない。会ったばっかりだよ?それに、歳下には興味ないし。」
「綾斗がそうでも、あの子はわかんないよ。綾斗よりも背が高かったから、無理矢理押し倒されるだろうし。」
「気にしてたことしれっと言わないでくれる?それに、皆が男好きって訳じゃないからね?」
「・・・そうかもしれないけど・・・まぁ、綾斗とはまた同じクラスだからいいや。」
・・・え!?
同じクラス!?
「も、もう見たの!?いつの間に!?」
「誰かさんが可愛い後輩に構ってる時。」
「もー機嫌直してよ。・・・でもよかった。同じクラスで。凄い嬉しい。」
「・・・そっか////」
気のせいか、柊の耳が少し赤くなっている気がした。