第8章 嫉妬と愛情
「柊、はい。これ。」
「これ!チョコ!」
柊が目をキラキラと輝かせて、僕が渡したバレンタインの包装がされた小包を両手で持っている。
渡すのに時間かかっちゃったな。
「食べていい!?」
「え、ここで!?///」
柊が中から1枚のクッキーを取り出し口に運んだ。
「どう?」
「ん、やっぱ美味いな・・・凄く美味しい。」
「よかった・・・」
すると僕から貰ったバレンタインの小包と中身を少し取り出し、写真を撮り始めた。
気に食わないのか何度も撮り直してる。
SNSにアップするつもりなのか角度を変えながら撮る。
「よし。」
ピロン
『#バレンタイン#大切な人#世界で1番美味しい#幸せ』
「なっ・・・これ////」
柊のアカウントで写真と共にアップされたタグ付けに顔が赤くなる。
そんな僕を他所にクッキーをどんどん口に入れていく。
いいね数が増えていく。
その度に柊の携帯から通知音が鳴っていた。
「ん、綾斗?嫌だったか?」
「ううん・・・寧ろ嬉しいっていうか・・・///」
「よかった。綾斗、おいで。」
柊に呼ばれ、足の間に座り込む。
暖かい。
それを柊が両手で抱きしめてきた。
「本当にありがとう。今までで1番嬉しい。まさか貰えるとは思ってなかったし。」
「バレンタインだから、やっぱり渡したかった。それに・・・他の子に取られたくないって・・・////」
正直に言葉が出てくる。
ちゃんと思いは伝えないと。
「行かないよ、どこにも。ずっと傍にいる。」
「うん。」