第8章 嫉妬と愛情
今僕は泡立て器片手にキッチンに立っている。
今日は2月13日。
そう、明日はバレンタイン。
恐らく、柊も気づいている。
折角なら手作りがいい。
仁達には別に市販のものを買った。
「よ、よし・・・気合い入れないと・・・」
よく考えたらバレンタインに手作りチョコ渡すのとか初めてだから緊張する。
作るものも決まっている。
レシピも確認済み。
材料もOK。
レシピを確認しながら作っていく。
量も細かく揃える。
かなり寒い冬の時期なのに汗をかく。
「まぁ!綾ちゃん手作りチョコ作ってるの!?」
「か、母さん!!?////」
「本命の子でもいるの?あれ、でもバレンタインは女の子が渡す・・・」
「べ、別にいいでしょ?!もう母さんはあっち行ってて!////」
「ふふ、そうさせてもらうわ。」
嬉しそうに微笑んでキッチンから離れる。
恥ずかしい。
変に思われたかな?
一呼吸置いて、再び作業に戻る。
「出来た!」
中々の出来!
あとはこれを包んで明日渡すだけ。
喜んでくれるといいな。
味見もしたけど、美味しかった。
きっと大丈夫。
形が崩れないようにして包む。
ふと携帯を確認すると、柊からメッセージが届いていた。
『明日、帰りに少しデートしない?』
やっぱり覚えてたんだ。
記念日にデートしてからそんなに時間は経っていないが、もちろんデートしたい。
『いいよ。』
あーでも、帰りだからお洒落はできないな。
制服デートか。
むしろ、新鮮でいいかも。
明日が楽しみだ。