第2章 出会い
日が暮れ、月が光る夜
他愛もない話をしながらお酌をしていた
愛しい恋人は真剣な面持ちで話を切り出す
「桜、おまんに頼みがあるぜよ」
『私に頼みですか?龍馬さんが私に頼みなんて…
私にできることならなんでも』
私にありがとうと言うと優しく私の手を取った
「こんな危険な事を頼むんは心苦しい…
けんど おまんにしか頼めん
…新選組に女中として入って情報収集してくれんか」
『新選組に…?』
人斬り集団で有名な新選組
坂本龍馬の恋人でしかも間者だとバレれば
即斬られるかもしれない
危険な仕事なんだと言うことは私でも分かる
『そんな、私……怖いです』
「おまんにしか頼めん」
何度も頼むと頭を下げられ、この人の為になるならと
引き受けることにした
しかし女中となると住み込みになる
そうすればこうして龍馬さんと会うことが出来なくなってしまう
その事に少しの寂しさを覚えた
「安心しぃや、なんかあったら助けたるき」
『…はい、お役に立てるように頑張ります』
そんな寂しさを感じているのを知ってか知らずか
かき消すようにそっと抱きしめてくれた
.
.
あれから数日後、新選組の女中として住み込む事が決まった
女中として働きたいと申し出てからまもなくして
結果がきた
簡単な身辺調査などされてから決定されたのだろう
女だと言っても怪しがるのは当たり前
龍馬さんのように女を使って情報収集する事も
有り得るだろうから
他人ごとのように考えながら
とぼとぼと歩く
屯所につくと屯所の前には男の人が2人立っていた
確か、局長と副長
とにかく私はゆっくりと頭を下げた
『今日からお世話になります風上 桜です』
近藤「おお、風上君!よろしく頼むよ」
『はい、お願いします』
近藤「改めて自己紹介をしよう
俺は局長の近藤勇だ
で、隣にいるのが……」
土方「おい、近藤さん
そんなのは後でいいだろ」
近藤「お、そうだな。さ!入ってくれたまえ!」
『はい、ありがとうございます』
そして私は広間へと案内された