第5章 代償
「っぁ、や、ぁっ、んん」
かわいい声。
必死で声を出さないように我慢してるくぐもった声。
時折降ってくる喘ぎ声は完全に舌足らずな涙声で。
余計に、煽られる。
「薔、さまぁ」
指先で割れ目を広げて、いきなり剥き出しの突起へと吸い付けば。
すぐにピクピクと僕を欲しがる華自身。
そのまま指を1本、中へと埋め込めば。
そこはうねるように痙攣を繰り返し指先きつく締め付けるのだ。
さっきのようなきつさはなくて。
何度も何度も壁を擦るように出し入れするだけで。
可愛らしく僕の指に吸い付いてくる。
「華」
「やぁ、薔さま……っ、息、や、だ」
「指、増やすね」
「!!」
そろそろ、いい頃だとは思う。
こんなにぐちゃぐちゃに濡れていれば、2本くらいなら入るはずだ。
「は……っ、ッッァ、あああッッ」
奥まで指2本、入ったところで顔を上げれば。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら。
顔を上気させて、肩で短く呼吸する華の姿。
完全にベッドへとその身を預けて。
ただ一点だけを、見つめている。
「華」
声をかければ焦点の合わない瞳はゆっくりとこちらを見つめ、優しく微笑んだ。
「痛い?」
「………っ、たく、ありません」
「動かすよ?」
たぶんもうすでに限界がそこまできてる。
きゅうきゅうと締め付ける柔らかいこの場所が、それを物語ってるから。
「辛かったら、つかまって華」
「薔さま、薔さま」
枕を握りしめる小さな掌を首の後ろへと誘導して。
覆い被さった。
「ん?」
「キス、してもよろしいでしょうか」
「ぇ」
「キス、したいの。薔さま」
キス、したいの。
華からそうお願いされたのは初めてで。
嬉しさのあまり反応に遅れた。
隙に。
「っふ、……っぁあんっ」
びくびくとひときわ大きく体が痙攣して。
限界を感じる。
「華」
「………ん、っぁ、や、っぁあ」
「大丈夫、そのままその感覚、追って。逃げないで」
「………っ」
「華」
限界を迎える直前。
熱く深く、華の唇を自分のそれで塞いだ。