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気持ちいいことしませんか

第4章 転校生


「姫月」


朝の和やかなホームルームを終えて。
1時間目の古典が始まろうという、その瞬間。
悪夢開始のベルが、耳の奥で鳴り響いた。


「教科書、見せて」


なんで?
お隣の方に見せて頂くのがこの場合セオリーと言うものなのでは?

「姫月?」


だけどだけど。
そんな恐ろしい暴言なんてあたしの口から飛び出すはずもなく。
机の中から教科書と辞書を取り出して、振り返らずに彼の机において来るので精一杯です。

「………」


なんでなんで?
後頭部に突き刺さる視線が痛すぎます。
教科書貸しましたよね?
なんででしょう。
確認したくても、怖くて後ろを振り向くことなんて出来ないし。
神様。
いいえ、先生。
お願いですから早く授業終わって下さいっ。
薔さま。
どーしよう。
怖いです、ほんとに。






終業を告げるベルがこんなにも嬉しかったことはもしかしてはじめてではないでしょうか。
薔さまの数学は、いつもあっとゆーまに過ぎてしまうのに。



「姫月」
「朱莉ちゃん!!」


ガタン、と後ろから音がした瞬間。
咄嗟に被せるように大声で呼んだ朱莉ちゃんの名前。
そのまま朱莉ちゃんの元へと走り寄った。



「姫ぇ、めっちゃ睨んでるよ?」
「………」

怖い。
あたし、この先無事に学園生活送れるのでしょうか。


「登校拒否、は、犯罪になりますか?」
「なんないと思うよ」
「そうですか……」
「………」









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