第8章 復讐
「ほら。また壁叩けばいい?」
また…………。
「駄目!!」
「なら早くすれば」
「…………っ」
涙が、止まらない。
薔さま以外にこんな、自分から足開くなんて。
こんな格好。
薔さま以外に、見せるなんて。
「…………よく出来ました」
ゆっくりと自分から足をひらけば。
霧生くんがそう、目を細めて。
ベッドを軋ませながら、耳元で、囁いた。
「触ってないのにここすげーことになってんじゃん。ねぇ、直接触って欲しい?指と舌、どっちがいい?」
下着の上から触られただけですでにくちゅ、て耳に響いて。
羞恥心に目をぎゅ、て、閉じるけど。
チラリと霧生くんの左手に向けた視線。
壁に手をつくように、左手がそこにある。
薔、さま…………っ。
「………し、した…………」
「何?もっとはっきり言って姫月」
威圧的な声のトーンに、反射的に萎縮しながらも。
震える声で。
彼の望む、答え、言わなくちゃ。
「…………し、舌、で。………なめ、て、くださ………」
手。
手を。
霧生くんの手を、壁から離せる、なら。
霧生くんの機嫌、そこねない、なら。
大丈夫。
我慢、できる。
「…………健気な、ほんと」
「ぇ」
「イライラする」
憎しみで顔を歪ませて。
霧生くんは乱暴に下着を剥ぎ取ると。
足の間へと顔を埋めた。
「…………っ、きゃぁああああ!!」
霧生くんの舌が、触れた、途端。
身体中を駆け巡る電流のような火花が、飛んで。
身体中をまわる熱がそこへと集中したみたい。
「いゃ、いや…………っ!!やぁああ!!いやぁああ!!」
熱い。
苦しい。
息、できない。
「霧生くん!!いやっ、それいや、いやです!!やめ…………っ」
「足閉じんなって。やりにくい」
反射的に閉じてしまった両足を強引に開かせて。
霧生くんは、舌を這わせたままになかへと指を、沈ませた。