第8章 My ANSWER that don't come true
眩しいほどの笑顔と花のような香りが名残惜しくて、照れた横顔ではにかみながら駆けてゆく君に無意識に手を伸ばそうとしたーー…
その時、私はこれまで積み上げてきたありとあらゆる研究と実験結果と理論をもってしても、到底説明のつかない感情を認識してしまった。
クオンというあの男の義魂に記憶を入れ込むため、私はたまに英リコを呼んでその男の話を聞く。
その時、君がこの世で一番幸せかのように穏やかに笑う。
欲望とは恐ろしい。
惚れた腫れたの色恋沙汰にも女にも毛程も興味がなかったのにネェ。
その笑顔を見ていたら、「君の全てを手に入れたい」と、何ともバカげた欲求が頭をよぎった。
だが幸運なことに、君はどうやらこの私に好意を抱いている。
しかし、それは愛する対象がもうこの世にいないからに過ぎない。
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