第7章 LOVEsickness
すると、横で置いてけぼりになっていたマユリ様が咳払いをした。
「京楽殿、私が先に英リコと話していたにもかかわらず横槍を入れ、尚も続けている楽しげな会話は終わりましたかな?」
「おっと。いや〜すまないね。ついリコちゃんに夢中になっちゃって」
京楽隊長は「どうぞどうぞ」とマユリ様に私の方へ手を仰いだ。
マユリ様はその様子を鼻で笑って一蹴した。
「英リコ、結局あの写真に写っていた羽織は誰のものなのかネ?」
「あ、僕もそれを聞きに来たんだった。話逸れちゃったけどそれ聞かないと帰るに帰れないな〜」
ふ、二人の隊長に迫られたらもう逃げ場なんてありませんよぉ…。
私は冷や汗ダラダラで手を横に振って言えない意思を示す。
「そ、それは申し上げられません…。でも、撮影に使ったのは本当に私がお慕いしている方の羽織です」
私がお慕いしている方は一人だけ。
マユリ様をちらりと見ると、一瞬だけど目が合った。
さっきから止まらないドキドキはあなたのせいですよ…?
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