第7章 LOVEsickness
そこには、リコが横向きに立ち、白い上物の羽織の裾を持ち、それを見せるようにして撮影されている。
その羽織の上から赤い曼珠沙華が刺繍された着物を肩に掛け、華やいで豪華だが可憐な写真だった。
「なーに見てんだ?」
目を奪われているニコとリンの後ろから阿近の声が聞こえるなり、タバコを咥えた阿近がその雑誌を取り上げた。
「あ!ちょっと阿近さん!」
ニコが取り返そうとするも、阿近は雑誌を高く持ち上げてしまう。
「何だ?騒がしい」
そこへ鵯州もひょっこり現れる。
「ん?これ…英じゃねぇか」
「そうなんだよ。あいつ、こんなモデルみたいなことしてたんだなと思ってよ」
「まぁ、器量は良いからな。九番隊からスカウトでもされて、あの性格だから断れなかったんだろ」
阿近と鵯州が喋りながら見入っていると、ニコが隙をつきジャンプして阿近から雑誌を取り上げる。
「あ…」
阿近は情けない声を出して、取られてしまった雑誌を見つめる。
「油断も隙もないんだから!…ん?リンくん、見て」
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