第17章 STAY with ME, please
真っ赤なセロが眼前に迫るのを感じた瞬間、ふっと体が宙に浮いた。
「現世の虚反応が急激に上昇して危険だと言うのに…」
鼓膜を揺らした聞き覚えのある声。
私はハッとして目を開ける。
「下っ端のお前が現世にいると言うもんだからネ。直々に私が出てきてやったのだが…」
私を抱きかかえるあなたと視線が交錯する。
「随分とまぁ派手なやられようじゃないか。エ?」
「マユリ様…」
マユリ様は私を抱きかかえたまま戦場から少し離れたビルの屋上へ飛び、プレハブの壁に私の背中を預けるようにそっと座らせてくれた。
「どうして…ここに…」
「救援要請があったからだヨ」
マユリ様はフンッと鼻を鳴らし、私に背を向けて立ち上がった。
「ま、生きてて何よりだヨ」
その瞬間、私はマユリ様の背中を見つめながら目を見開き、ハッと息を吸った。
「マユリ様…ごめん、なさい…っ。ごめんなさい…!」
「謝罪も結構だが、まずは感謝の言葉を聞きたいものなのだがネ」
「だってーー…」
私は隊首羽織の裾に手を伸ばした。
「左腕が…っ」
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