第12章 Break like a BOMB
私は瓦屋根の上から瀞霊廷の迷路のような道を見下ろしていた。
辺りは既に暗くなっている。
旅禍が動き出すなら、人気がなく目立つことのない夜中。
私はニコちゃんとリンくんに協力を仰ぎ、技術開発局の情報網を駆使して旅禍の2人が隠れている倉庫を発見した。
私たちが標的にする旅禍は、眼鏡をかけた黒髪の男の子とオレンジ色の髪の長い女の子。
発見を報告後、局を介してマユリ様から"隊舎に連れて来い"と各班に新たな指令が下った。
マユリ様のことだからそこまで旅禍を誘導することに成功すれば、あとは容易に捕獲できるよう手筈を整えて待ち構えるはず…。
そこへ地獄蝶がヒラヒラと黒い羽を羽ばたかせて飛んで来た。
私は人差し指に地獄蝶を止め、頭に響く伝令を聞く。
旅禍の2人が動き出してそちらに向かっている、か。
あと数分もしない内にこの辺りをーー…
「お〜〜い、おめぇらァ!」
近くで突然男の大声が聞こえた。
こんな夜中だからよく響く。
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