第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
「当然名のあるヒーロー事務所に入ったほうが経験値も話題性も高くなる。時間は有限…プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に1回…計3回だけのチャンス…ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ。その気があるなら準備は怠るな!」
「「「はい!!」」」
「HRは以上だ」
***************************
そうして朝のHRは締め括られ、普段通り午前の授業が終わり、昼休み。体育祭へのテンションは冷めるどころか上がっていく。
「あんな事あったけど、テンション上がるなオイ!!!」
「活躍して目立ちゃ、プロへのどでけぇ1歩を踏み出せる!」
「雄英に入った甲斐があるってもんだぜ!」
「…数少ない機会…物にしない手はない…」
「尾白くん、なんだか私緊張してきちゃった!体育祭、目立たなきゃ!」
「う…うん、でも葉隠さんは相当頑張らないとプロに存在気づいてもらえないかもね…」
「困っちゃったなぁ…僕なんて立ってるだけで目立つからスカウトの目に止まりっぱなしになるね!」
「いいよなぁ障子は…そのガタイだけで目立つもんな!」
「自分の有余性を知ってもらわねば意味が無い。」
「アンタも目立つと思うよ…っ」
なんか、みんな凄くノリノリだった。逆に私は心配な面が多くて、あまり乗り気じゃない…USJ事件では無我夢中で個性を使えていたけど、いざ意識して使おうと思うと力の加減ができなくてケガをしてしまう始末。おまけに、体力面もみんなにはまだまだ程遠い。ヴィランと戦った時過呼吸を起こさなかったのは奇跡中の奇跡。もしあの場で過呼吸…発作を起こしていたら死んでいたかもしれない。そう思うと今でもゾッとする。なんか…私、場違いな気がしてきた…。ううん、でも諦めるわけにはいかない…。
「ちゃん…四楓院ちゃん!」
「へっ…!?」
「どうしたの、ぼーっとしちゃって…」
芦戸ちゃんの声に、私は我に返った。
「お弁当全然食べてないし、具合悪い?保健室行く?」
「あ、ううん!違うの、大丈夫!ちょっと考え事してただけだから」
「そう?」
そう返事返すと、芦戸ちゃんは首傾げながらもお弁当を食べ始めた。
「ごめん、芦戸ちゃん…私ちょっと用事思い出したから行ってくるね」