第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
映ってたの、手袋と靴だけだもんね。
「しっかし、どのチャンネルも結構でかく扱ってたよな!」
「びっくりしたぜ!」
「無理ないよ。プロヒーローを輩出するヒーロー科が襲われたんだから」
「あの時先生が来なかったらどうなってたか…」
「やめろよ瀬呂ー!考えただけでもチビっちまうだろ!」
「うるせぇぞ黙れカス!!!」
峰田くんの言葉を、勝己くんがいつものように声を荒らげて遮った。何があっても、相変わらずだな勝己くん…。
「けど、さすがはオールマイトだよな!あのクソ強いヴィランを撃退したんだから!」
「あぁ…驚愕に値する強さだ」
皆が席に着いたままそう話をしていたなか、1人出遅れた生徒が1人…こちらもいつものエンジン全開でやってきた。
「皆!朝のHRが始まる!私語を慎んで席につけ!」
「ついてるだろ?」
「ついてねえの、お前だけだ!」
そうツッコミを受けたのは、今日もフルスロットルな飯田くん。
「くっ、しまった…!」
「どんまいっ!」
飯田くんは、お茶子ちゃんにそう言われながら席に着いた。
「梅雨ちゃん、今日のHR誰がやるんだろ?」
芦戸ちゃんが梅雨ちゃんに問いかけた。あ、そうか…みんな今日消ちゃんが退院すること知らないんだ…。ということは、デクくんみんなに話してないんだね。
「そうね…相澤先生はケガで入院中のハズだし…」
ガラ…
その時、教師のドアが開いた。その向こうにいたのは…
「……消ちゃん…」
私は誰にも聞こえないように囁いた。昨日から変わらず顔と両腕は包帯でぐるぐる巻きだけど、それ以外は何ら変わりないようで、何事もなかったかのように教室に入ってきた。
「おはよう」
「「「相澤先生復帰早ぇえ!!!!???」」」
と、同時にクラスのみんなから一斉にツッコミの嵐。なかには、その回復力の早さにドン引きする生徒までいるほど。特に上鳴くんは青ざめている。
「先生!無事だったのですね!!」
「無事言うんかぁアレ……」
フラフラと移動する消ちゃんは、無事とは程遠い。むしろ介護が必要なのではとまで考えてしまう。けれど本人はそんな心配をよそに話を進める。