第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
「なに...これ?」
それは、HR前の出来事だった。USJ事件から3日が経った日、私はいつも通り通学した。教室に入るなり、みんなから髪を切ったことにとても驚かれたけれど、そんなことよりももっと驚く出来事があった。それは、昨日芦戸ちゃんが学校の帰り道に寄った本屋で見つけた、ある雑誌の内容だった。その雑誌は、主にヒーローがメインの週間雑誌でその一面にUSJ事件の内容が特集されていた。あの場にいたのは雄英教師と私たち、ヴィラン、あとから駆けつけた警察のみ。なのに、何故か情報が外部に漏れていたのだ。しかもメインは事件ではなく...。
「なんで四楓院ちゃん特集なの!?」
芦戸ちゃんの机の周りに、クラスメイトが集まる。その雑誌にはこう書かれていた。
『1000年に1人の美少女、雄英高校に現る!』
そうでかでかと書かれた言葉の横に、消ちゃんとヴィランに立ち向かう私の姿の写真がしっかりと撮られ、掲載されていた。誰がこんな記事を...
「おい、ほかのクラスや上級生まで話題になってるぞ!」
そう言いながら教室に入ってきたのは鋭児郎だった。
「やっぱりか〜...」
「USJ事件の事はニュースになってるから驚きはしねえけど、映像は外部だけで、内部は公開してねえだろ...ましてやあの戦いの中、誰がこんな写真撮るんだよ...」
確かにあの戦禍の中写真を撮る余裕なんて全くなかった。
「それにしても綺麗に撮れてるなあ…」
「ケロ…イレイザーヘッドの将来のサイドキックなんてありもしない話も書かれてるわね」
「これだけ大きく話題になると、日常生活にも支障が出るかもしれませんわね…」
キーンコーンカーンコーン…
HRを知らせるチャイムが鳴り、私たちは席についた。
「あ、ねえねえ!そういや昨日のニュース見た?クラスのみんなが、一瞬映ったでしょ?」
話題を振ったのは透ちゃんだった。となりの席の私と後ろの障子くん、右隣の尾白くんが話題に入る。
「うん、見た見た!」
「なんか私、全然目立ってなかったね…」
顔は分からないけど、透ちゃんは少し残念がった様子。確かに透明人間だし、背景と同化しちゃうのもあるけど…。
「たしかにな。」
「あの格好じゃ目立ちようないもんね」
障子くんは同意し、尾白くんはフォローもできず苦笑いを浮かべた。