第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
「あの、前から聞きたかったんだけど…」
「なに?」
「えっと…その…四楓院さんと相澤先生ってなんか深い関係があるのかなって…」
「え?」
デクくんの突然の言葉に、私の心臓が跳ねた。
「一昨日のUSJ事件の時、相澤先生の事『消ちゃん』って呼んでたから…」
あ、オールマイト先生が助けに来てくれた時…その時私夢中でデクくんや梅雨ちゃん、峰田くんの前で思わず言っちゃってたんだ…。
「…本当は一部の人しか知らない秘密なんだけど、私もデクくんとオールマイト先生の事情知ってるから…私と消ちゃんの事話すね。」
そして私は、デクくんに全てを話した。両親がヒーローでヴィランに殺されてしまったこと、当時父のサイドキックをしていたのが消ちゃんであったこと、身寄りがいないまだ小さかった私を引き取ってくれたこと、その日からずっと同じ屋根の下で暮らしていること…包み隠さず話した。デクくんは時々相槌を打ちながら話を聞いてくれた。
「そんなことがあったんだ…」
「うん…消ちゃんのサイドキックになりたくてヒーローになる事を決めたんだけど、なかなか上手くいかないし、思った以上に大変」
「そうだね…僕もみんなについて行くのに必死だよ。みんなの何倍も努力しなきゃいけない…」
「でもデクくんすごいよ?入試の実技の時もすごかったし、前の対人戦闘訓練のときだって、個性使わずに勝己くんと戦ってたし!やっぱり、頑張れって感じのデクだよねっ」
デクくんが勝己くんに向けて言った言葉を、私は忘れなかった。何気なしに言った言葉が、彼の戦闘心を奮い立たせたと思うと少し嬉しかった。
「え!あ、いやそのあれは…!勢いっていうか…!!その…!」
デクくんは顔を真っ赤にしてブンブンと手を振る。
「あの…嬉しかったんだ。今までデクって、バカにされて呼ばれてた呼び方だったから、入学した日に四楓院さんが言ってくれた言葉が嬉しくて…つい…」
「私も、デクくんやみんなに負けていられない」
私は立ち上がると、おもむろにカバンに入っていたペンケースからハサミを取り出した。そう、これは私の覚悟の誓い。
「四楓院さん、何を…!?」
「私、決めたの。もう泣かないし、弱音も吐かない…何が起きても絶対諦めないし、相手が誰だろうと負けない。だから…」