第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
「あのリスナーのことが好きなんだろ、消太」
マイクの言葉に、消太は窓を見た。そこから見えるのは、帰っていく彼女の姿。
「…こんな感情、持っちゃいけねえのは分かってるよ。だが…どうしても振り切れん…」
マイク…山田ひざしの言葉に消太は声をこもらせた。そう、許されるはずがない…年齢的にも、立場的にも。だが、どうしようもないのだ。彼の中に生まれた彼女を愛おしく思う感情は止められない。いつからそうなっていたのははっきり自分でも分からない。
「そうか…」
ひざしは小さく返事をすると、静かに椅子から立ち上がった。
「ま、とりあえず元気そうで安心したよ。お前のことだ…合理的なんちゃらってやつで、明日から出勤するつもりなんだろ?」
「当然だ。」
短い返事を聞いたひざしは、椅子から立ち上がり、「またな」と軽く挨拶して帰っていった。それを見送った消太は、包帯とギプスでぐるぐる巻きにされた自分の手を見た。
「(あの時…あいつは震えてた。恐怖と戦いながら俺の援護に来てたのか…)」
そして、消太にもまた改めて彼女を守りたいという覚悟が生まれ、更に向こうへ…さらなる強さを求めることを誓ったのだった。
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