第2章 波乱の初日
「おはよう!おれは私立聡明中学の...」
「聞いてたよ...!」
「ん?」
「あ...っと...僕は、緑谷...!よろしく飯田くん」
「緑谷くん、キミはあの実技試験の構造に気付いていたのだな」
「え...?」
「おれは気づかなかった...キミを見誤っていたよ...!」
飯田くんはなにか誤解?をしているみたいだけど、確かに実技試験は緑谷くんがずば抜けてすごかった。みんな得点を稼ぐのに必死で、周りが見えていなかった...逆に1ポイントも取れてなかった緑谷くんは、周りをよく観察して実技試験場の瓦礫の下敷きになった受験生を助けた。しかも殴り飛ばしたのは、デカブツでしかも無得点のロボ。破壊したところで自分に利益なんてひとつもないのに、緑谷くんは自分の事より人を助けることを優先した。緑谷くんが合格したのも、きっとヒーローのあるべき姿を先生方に見せたからだと思う。
「悔しいが、キミの方が上手だったようだ...!」
「(.....ごめん、気づいてなかったよ...)」
「あー!そのモサモサ頭は地味目の!」
「ん?あっ...!」
さらに女子生徒が1人緑谷くんの後ろから現れた。確かあの子は実技試験の時に緑谷くんが助けた女の子。パンチすごかったとか言ってるし、やっぱりそうなんだ。しかも緑谷くん顔真っ赤だし、わかり易すぎる人多いな、このクラス。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」
「「「へっ...?」」」
「えっ!?」
聞き覚えのありすぎる声に思わず素っ頓狂な声が出てしまった。教室のドアの前...飯田くん、緑谷くん、さっきの女の子の後ろにいたのは、出席簿を持った...
「し...消ちゃ...!?」
いけない。ここは学校...消ちゃんなんて呼んじゃいけない。私は思わず開きかけた口を閉じた。でも、間違いない...私の目の前にいるのは消ちゃんだった。
「はい、静かになるまで8秒掛かりました...時間は有限。君たちは合理性に欠くね...」
「え、さくらちゃん...あの人先生?」
「そ...そうみたい...」
私が言いたいセリフだよ透ちゃん...!確かに消ちゃんからある学校のヒーロー科の教員をするとは聞いてたけど、雄英なんて聞いてないししかも私のクラスの担任とも聞いてない...!