第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
「……。」
「また明日からしんどいぞ。今日は帰って、大人しく寝てろ。」
「はい、そうします。じゃあ、また明日ね消ちゃん」
私は手荷物をもって病室を出た。それとほぼ同時に、ある人物と鉢合わせになった。その人は…
「あれ、マイク先生?」
「YO!イレイザーヘッドんとこのリスナー!!!こんなとこでなにしてんだ?」
「あ…えっと、相澤先生のお見舞いに…マイク先生も相澤先生のお見舞いですか?」
「そんなとこだ!イレイザーヘッドは起きてるか?」
「はい、さっき意識がもどりました。」
「THANK YOU!」
「じ、じゃあ、私はこれで…」
マイク先生に軽く頭を下げて、私は歩き出した。マイク先生が病室に入ったのを見届けると、私は踵を返して病室の近くまで戻る。マイク先生、消ちゃんになんの用だろう…ただのお見舞いかな…。本当はやっちゃいけないんだけど、どうしても気になって病室の前で耳をすましてしまう。なかで、消ちゃんとマイク先生の話し声が聞こえてくる。
「けが人は生徒と教師合わせて数人…教師は2人とも重傷だが、生徒は緑谷と四楓院を除いて軽傷で済んだ。ヴィラン連合の主犯格2名は逃げられたが、残りの奴らは全員拘束した。…なにより、生徒が全員無事だ。」
「…そうか」
「…聞いたぞ…四楓院を守るために、身を張ったんだってな。正直イレイザーヘッドらしくねえと思ったが、相澤消太らしいとは思ったよ。自分の身を犠牲にしてまで、あのリスナーを守りたかったのか?」
「……あの日からずっと、守り抜くと決めたからな…」
「それは、どっちの“あの日”だ?パヒューム・ロックが殺された日か、あのリスナーが襲われた日か」
「……」
私は病室の前の壁にもたれ掛かり、中の話を盗み聞きしていた。私が襲われた日の話を知っているあたり、消ちゃんはマイク先生に話したのかな。高校からの付き合いだし、いい相談相手なのかも。
「どっちもだな…月影さんが死んでから、俺はあいつを妹のように育ててきた。月影さんが唯一残した形見を、無くすわけにはいかなかったしな」
「…パヒューム・ロックも、お前だからたった1人の娘さんを託したんだと思うぜ…またいつ現れるか分からないヒーロー殺しのヴィラン ステインから守れるのは、お前しかいないと思ったんだろう。」