第6章 “想い”と“ライバル”※微裏注意
幼稚園の頃からいつもそばにいた鋭児郎…パパとママがヒーロー殺しのヴィランに殺され、私が消ちゃんに引き取られた時からの仲だから、彼への信頼は厚い。ただ、その時から既にメディア嫌いでテレビに出るのを嫌ってたから、消ちゃんが本当にヒーローなのか疑っていた時期もあったけれど、私がレイプされた日に相手の人達の個性を消してあっという間に助けてくれた光景を見て、その疑いは晴れた。…光り輝くヒーローたちの裏の影で活躍する、静寂なる抹消ヒーロー…イレイザーヘッド。いつも気だるそうな顔をしているのに、どこか熱いところがあって…事件や事故が起きれば静かに駆けつける。そんな消ちゃんが、私は小さい頃から大好きだった。
私は思わず消ちゃんの手を握る。
そう、大好きな彼だからこそ…私は、強くならなきゃいけない。もう、こんなことにはさせない…二度と…。
「ありがとう…消ちゃん…」
もう泣かない…弱音も吐かない…。強くなって、プロヒーローになって、必ずあなたのサイドキックになる。その時はこんな半端な力じゃなくて、あなたも守れるくらい強くなるから。
「ありがとう鋭児郎。なんか、少し元気出た!」
「おう、そうか!」
そういうと鋭児郎は、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「ンじゃあ、俺は帰るけど、お前はどうする?」
「私はもう少しだけここにいるよ。消ちゃんが起きるかもしれないし」
「そうか…じゃあまた何かあったらLINE送れよな」
「うん」
そう言い残して、鋭児郎は先に帰っていった。それを見送った私は消ちゃんを見る。峠を越え、一命を取り留めた消ちゃんの呼吸が静かに聞こえる。そう、自分を責めている暇なんてない。最下位からのスタート…体力テストの日から決めた覚悟をもう一度心に決めた。
その日私は面会時間ギリギリまで彼のそばを離れなかった。今回の雄英を襲ったヴィラン襲撃事件はUSJ事件と称され、オールマイト先生殺害を目論んだ事件のニュースは、たちまち全国を震撼させた。
.