第5章 平和の象徴
「死柄木弔、落ち着いてください…よく見れば、脳無に受けたダメージは確実に現れている。それに、どうやら子どもらも棒立ちの様子ですし…まだ使える手下も残っています。あと数分もしないうちに増援が来てしまうでしょうが…あなたと私で連携すれば、まだ殺れるチャンスは十分あるかと…」
「…そうだな…そうだよ。そうだ…やるっきゃないぜ…。目の前にラスボスがいるんだもの…なにより、脳無の仇ィイイー!!!」
オールマイト先生は、もう動けない。その事は、見てもわかるほどだった。だからこそーーー体が勝手に動いていた。そう、彼と共に…!オールマイト先生に迫る死柄木と黒霧に、私たちは拳を向けた。
「「でやぁあああァアアア!!!」」
こいつさえ…黒霧さえ倒せば!
「オールマイトから、離れろー!!」
「緑谷!さくら!!!」
しかし、考えは甘かった。黒霧を挟んだ先…死柄木は黒霧のワープを使って、こちら側に手を伸ばした。それは、破壊の個性…
「二度目はありませんよ!!!」
「ヒャハ…ハハハハハ!」
死柄木の、死神のような不気味な笑い声が耳に入る。そして、じわじわと狭くなる視界…破壊されるー!
バァーン!
その時、1発の銃弾が死柄木の手を貫通した。
「来たか…!!」
オールマイト先生が入口へ視線を変えた。
「ごめんよみんな、遅くなったね!すぐに動ける者をかき集めてきた!」
それは、誰もが待ちわびた言葉…この長い戦いにようやく終わりが見えた瞬間だった。入口にいるのは、根津校長と飯田くん…そして。
「1年A組学級委員長飯田天哉…!!ただいま戻りました!!!」
学校の先生…根津校長先生を始め、多くのプロヒーローが集い、駆けつけてくれた。それが、この上なく眩しく見えて、ようやく希望の光が見えた。ヴィランたちは慌てふためき、無鉄砲に攻撃を始めた。
「YEAHHHHHHH!!!」
けれどそれは、プレゼントマイク先生の個性、ヴォイスによって妨害され、更にエクトプラズム先生の分身が敵を次々となぎ倒していく。
「手分けして、生徒たちの保護を!」
「「「はい!!」」」
増援が来たことで、形勢は一気に逆転した。
「あーあ…来ちゃったよ…ゲームオーバーだ。帰って出直すか…黒霧…」
バンバンバン…!
「ぐっ…!」
死柄木の体に、無数の銃弾が撃ちつけられる。