第5章 平和の象徴

｢脳無、黒霧…殺れ。俺は子どもをあしらう。さあ、クリアして帰ろう｣

死柄木が、私たちに向かって走り出した。これが最後…私たちは再度身構えた。

｢おい、やっぱやるっきゃねえって…！｣

｢…確かに時間は…もう1分とない。力の衰えは思ったより早い…しかし、やらねばなるまい！なぜなら私は…平和の象徴なのだから！！！｣

｢ーーー！！！｣

それは、凄まじい気迫だった。身の毛がよだつような…覇気のような気迫に、死柄木を始め誰もがそちらに目を向けた。その正体は、フルパワー全開のオールマイト先生だった。オールマイト先生は、脳無に真っ向から立ち向かい、拳と拳をぶつけた。それと同時に激しい爆風が巻き起こり、私たちも吹き飛ばされそうになる。

｢おいおい…！ショック吸収ってさっき自分で言ってたじゃんか…！｣

｢そうだなー！！｣

そう言いながらも、オールマイト先生は脳無への攻撃をやめない。激しい乱打戦…そこから巻き起こる衝撃波に、こちらまで気を失いそうだ。

｢ぐっ…真っ正面からの殴り合い…！｣

｢す…すげえ！！｣

彼らの周りにバリアでも出来たかのように、私たちはそこに踏み込めなかった。

｢くっ…近づけん…！｣

｢君の個性がショック無効ではなく吸収ならば……！！！限度があるんじゃないかー！？｣

｢ーーー！そうか！｣

オールマイト先生の言葉に、ようやく気づいた。

｢え、なにかわかったの？四楓院さん！｣

｢死柄木は、脳無の個性はショック吸収だと言ってた。それが本当なのだとしたら…脳無に与えられるダメージはゼロじゃない。吸収し、蓄えることでやがて体がそれを溜め込めなくなり、いずれは暴発する。オールマイト先生は、それを狙ってるんだと思う…その時こそ…唯一導き出せる勝機の瞬間だと｣

｢｢｢ーーー！｣｣｣

｢私対策…！私の100%を耐えるなら…さらに上からねじ伏せよう！！！｣

血を吐きながら、全力でやたらと打ち込んでるわけじゃない。1発1発が全部…100%以上の力…！！！

｢ヒーローとは…常にピンチをぶち壊していくものだ！｣

オールマイト先生は、古傷が開いて血を出しながらも、戦いをやめようとはしなかった。激しい乱打戦はおさまることはなく、爆風を巻き起こしながらひたすら脳無に重い一撃を確実に打ち込んでいく。