第5章 平和の象徴
「脳無…」
死柄木の前に、脳無が立ちはだかった。でもオールマイト先生は臆することなく正面から突っ込む。
「SMASH!!!」
しかし、脳無にはオールマイト先生の技すら効かないようで、反撃に出たけれど、オールマイト先生もそれを咄嗟にかわした。
「マジで全っ然…効いてないな!!!」
ズドッ!!!
鈍い音を立てながら、脳無の腹部にオールマイト先生の拳が入った。脳無のパワーは、オールマイト先生並み…つまり、2人のオールマイトが戦っているようなもの。予想がつかない戦いを、私たちは見ていることしか出来なかった。不意に、全身血だらけで意識を失った消ちゃんを見る。
「消ちゃん…ごめんっ…ね…!ごめんね…っ!」
両目から滝のように涙が溢れ、それが消ちゃんの頬に落ちてしまう。それを拭えば当然血と混じった涙が手につく。情けない…本当に…。援護なんて何一つ出来なかった…飯田くんの言う通り、足でまといにしかならなかった。自分ならもしかしたらという考えが甘かった…その結果、最後の最後まで守られてしまう側になってしまった。私が…消ちゃんを傷つけてしまったという現実が、深く胸に突き刺さる。
「四楓院さん…」
「今は相澤先生を運ぶのが最優先よ、さくらちゃん。泣くのは全てが終わってから…」
梅雨ちゃんの言葉に、私は乱暴に涙を拭った。
「う…っん…わかってる…!!」
嗚咽混じりで上手く返事ができない。でも、梅雨ちゃんの言う通り…今は、逃げることが最優先。
「効かないのは、ショック吸収だからさ。脳無にダメージを与えたいならゆっくりと肉体をえぐり取るとかが効果的だね。それをさせてくれるかは別として…」
「わざわざサンキュー!そういう事なら…やりやすい!!!」
オールマイト先生は、脳無を捉えるとバックドロップをお見舞した。
「なんでバックドロップが爆発みてーになるんだろうな…!やっぱダンチだぜオールマイト!」
峰田くんがツッコミを入れながらも、尊敬の意を表した。
「授業はカンペ見ながらの新米さんなのに。」
それ言わないであげて梅雨ちゃん…!
それにして…相手の表情が余裕すぎる…ヤツらはオールマイト先生を殺すために、わざわざこのヒーロー養成学校に侵入してきた。