第5章 平和の象徴
「嫌な予感がしてね…校長のお話を振り切り、やってきたよ。来る途中で飯田少年とすれ違って、何が起こっているかあからさまに聞いた。そして、四楓院少女が相澤くんを援護していることも…よくやった、少年少女。
もう、大丈夫!私が…来た!」
「「「オールマイトォオオ!!!!」」」
「待ったよヒーロー…社会のゴミめ…」
「あれがオールマイト…!生で見るのは初めてだぜ…!!迫力すげえ…!」
「馬鹿野郎!尻込みすんなよ!あれを殺って俺たちが…」
ヴィランたちがオールマイトの圧力に怖気付いたその隙に、オールマイトは雑魚のヴィランたちをあっという間に倒し、私たちの元へやってきた。それを見た消ちゃんは、安心しきったのか、一気に体の力が抜け、無造作にその場に倒れてしまった。
「……!せん…せい…!相澤先生…!」
そんな、まさか…これだけのケガだ。最悪の事態を想定してしまう自分が嫌になる…でも、それほどの大怪我を負っているのは明白だった。そう思ってしまったせいか、目から滝のように涙が溢れ出てくる。
「…っ……!ちゃ…ん…!!!…消ちゃん!!起きて、消ちゃん!!!!」
「すまない…相澤くん…」
そう言うと、オールマイト先生は消ちゃんと私を抱き抱えたかと思うと、凄まじいスピードで出入口付近まで運んでくれた。そこにはデクくん、梅雨ちゃん、峰田くんの姿もあった。どうやら飛ばされた先でヴィランたちを倒した様子だった。
「四楓院さん、相澤先生!!!」
「緑谷少年!皆を連れて入口へ!相澤くんを頼んだ!意識がない…早く!!」
オールマイトは、目線だけは死柄木に向けたままそう言った。
「あああ…だめだ…ごめんなさい…!お父さん…
救けるついでに殴られた…ははは…国家公認の暴力だ。さすがに速いや…目で追えない…けれど、思ったほどじゃない。やはり本当だったのかな…?
弱ってるって話………」
「オールマイト先生、ダメです!あの脳みそヴィラン、私の最大の技が効きませんでした!きっとあれは…!」
「四楓院少女、大丈夫!」
目元でピースをしていつもの笑みを見せたオールマイト先生はそう言ったあと、凄まじい速さで死柄木の元へ走り出した。
「CAROLINA…」
そして、構えた。