第4章 忍び寄る魔の手
下についた時、辺りに気を失ったヴィランたちが無造作に倒れている中でも、まだ戦闘は続いていた。捕縛武器を使って宙を舞い、敵を捕縛する消ちゃんも体力の限界が近づいてきているのか息が上がり始めていた。
「相澤先生!」
「なっ…四楓院!こんなところで何してる…13号と一緒じゃないのか!」
「13号先生が、ヴィラン連合のヤツにやられたわ!」
「なんだと!?」
「他のクラスメイトたちも、ワープの力で散り散りになった。この中にいるのは間違いないけど、各エリアに他のヴィランがいるから早くしないとみんなが危ない…!」
「ちっ…」
消ちゃんは小さく舌打ちをした。状況は圧倒的にこちら側が不利。ましてやまともに戦えるはずだった13号先生が倒れてしまったことで、状況はさらに悪化してしまっている。
「状況は最悪だな…」
「私も微力ながら相澤先生と一緒に戦います。そのためにつけた力です」
「…無茶はするなよ」
「了解…!」
やり取りを終えると、私はまだ残っているヴィランに向けて走った。
「シーバーム・ショット!」
指の先から皮脂の弾丸を射撃した。弾丸はヴィランの目に命中すると、そのまま硬化した。
「ぎゃああ!?なんだこりゃ!前が見えねえ!!」
「やあっ!!」
ガッ!!!
そしてとびっきりの蹴りをお見舞する。
「ぐはぁあ!?」
ヴィランはそのまま吹き飛び、エリア内にある岩に激突してそのまま気絶した。雄英への入学が決まったその日から、私は消ちゃんから体術を学び、それを自分のものにした。けれど相変わらず体が弱いせいで長期戦は出来ない。1発の技で決めないと体力が持たない…その件に関しては雄英で勉強しながらつけていくつもりだったけど、まさかこんなことが起きるなんて想像すらしていなかった。
そんな私の背後で、消ちゃんが敵を殴る鈍い音がひたすら聞こえる。けれどそれと同時に、素早く走る足音も聞こえた。振り向くと、顔に手のレプリカを付けた不気味な男が消ちゃんに向かってきていた。
「23秒…」
「本命か!」
消ちゃんは個性を発動させ、捕縛武器を男に向かって投げた。
「24秒…」
しかし男は捕縛武器を簡単に受け止め、さらに距離を縮めてくる。