第4章 忍び寄る魔の手
「手段が無いとはいえ、敵前で策を語る阿呆がいますか!」
異形のものは、逃がさんと言わんばかりに黒の靄で攻撃を仕掛けてきた。それを13号先生が対抗する。
「バレても問題ないから語ったんでしょうが!ブラックホール!」
黒の靄は、たちまち13号先生のブラックホールに呑み込まれていく。
「全てを吸い込み、塵にするブラックホール…なるほど!驚異的な個性です!しかし13号…あなたは災害救助で活躍するヒーロー。やはり戦闘経験は一般ヒーローに比べて半歩劣る!」
「ぐ…あっ…!」
「「「!!!」」」
13号先生の背後に黒の靄が表れ、13号先生を吸い込んでいく。信じ難い光景だった。それは13号先生が発動したブラックホール…異形のものは13号先生のブラックホールをワープさせたものだった。
「これは、ワープゲート…!!」
「フッ…自分で自分を塵にしてしまった…」
「や…やられた…!!」
「先生!!!」
芦戸ちゃんの悲鳴じみた声が辺りに響く。
「飯田!四楓院走れ!急げって!!!」
「……っ!」
「くっそ、行くぞ、四楓院くん!!!」
ごめん飯田くん、やっぱり私……!!!
「飯田くん、先に行ってて…私は、相澤先生の援護に回る」
「な…!何を言い出すんだ四楓院くん!あれほどの数を相手に相澤先生が個性を消してくれているんだぞ!敵方が満足に戦えない今こそ、助けを呼びに行く絶好の機会!それに君が援護に回ったところで、相澤先生の足でまといにしかならない!」
「それでもいい!」
私は思わず声を張り上げてしまった。足でまといになる事くらいわかっている。例えそうだとしても、私は…。
「お願い、飯田くん…行かせて」
「…っ」
「ビューティケア・シーバームリンク!」
私は飯田くんの有無を聞かずに皮脂のリンクを作り、下へと向かった。ごめん、飯田くん。無謀なのは分かってる…彼が負けるって決まったわけじゃないし、足でまといにしかならないことも分かってる。でも、だからと言って何もしないわけにはいかない。“あの時”…小さい頃の私は何も出来なくて、大切なものを失った。絶望の中から救ってくれた希望の光を、私は…もう二度とーーー失いたくない!!!!